リウマチ

リウマチに関する情報をお知らせします。

 

2011/03/21

第3回市民公開講座「わかりやすい関節リウマチの診療 その2」を開催いたしました。

 

今回は関節リウマチに関する2回目の市民公開講座となり、前回のテーマをより深く理解できるよう5人の先生方にご講演いただきました。東北関東大地震の発生から日も浅く、災害の備えについてもお話いただきました。当日はあいにくの雨模様でしたが、376名の方にご来場いただき、盛況な市民公開講座となりました。

 

日時:2011年3月21日(月・祝) 午後1時15分~3時50分

 

会場:グランキューブ大阪(大阪国際会議場) 10階

    〒530-0005 大阪市北区中之島5丁目3番51号

 

参加者:一般市民 376名

入場料:無料

 

当日の様子

  受付の様子
   開会の辞 前田恵治先生 

  講演Ⅰ 大島至郎先生 

 

 講演Ⅱ 藤原弘士先生

 

  講演Ⅲ 緒方篤先生

 

   講演Ⅳ 竹内英二先生

 

 講演Ⅴ 房間美恵先生

 

 

 会場内

 

  講演者とスタッフ

 

4 関節リウマチにおける骨の変化と手術療法
NTT西日本大阪病院 竹内 英二

関節リウマチは関節の腫れや痛みという症状から始まりますが、病気が進むと次第に関節の軟骨や骨が壊れてしまいます。近年では効果の高いクスリが開発されてきていますが、それも万能薬ではなく、ある程度以上に壊れてしまった関節が元通りに治ることは多くありません。
関節の壊れかたがひどくなると、
①クスリではおさまらない強い痛み
②痛みはそれほどでなくても、関節が思う様に動かせない
③痛みはそれほどでなくても、関節がぐらつく、変形する
といった症状になってきます。こうなると、歩行や立ち上がり、着替え、書字、食事、入浴、洗顔などの生活の中での基本的な動作でさえ不自由になってしまいます。このような場合でも、手術によって症状をよくすることが可能ですので、あきらめることはありません。

1.膝、股関節、肘、肩などの大きな関節
人工関節手術がとても有効です。傷んだ関節表面の骨を取りのぞき、代わりに人工関節をいれて痛みなく動かせるようにする手術です。人工関節の材質やデザインはもちろん、手術の方法も改良を重ねられていますので、痛みをとる効果が高いだけでなく、動きもよく、長持ちもするようになっています。

2.手や足の指の変形、手首などの小さな関節
症状に応じて骨の形を整えたり、固めたりする手術を行います。小さな人工関節をいれる場合もあります。手では特に手首と親指の働きが重要ですので、これを優先して治療します。足の骨が変形すると、タコができて痛んだり、皮膚が弱くなったところからバイ菌が入ったりすることがありますが、これも手術で改善することができます。

3.伸筋腱(指を伸ばすスジ)が切れた場合
手首の骨の変形が原因なので、腱と手首の骨の手術を同時に行います。多くの場合は突然小指や薬指が伸ばせなくなります。「痛くないからいいわ」とほっておくと他の指の腱も切れることが多いので、早めに相談しましょう。

4.頸椎(首の骨)の手術
首の骨が徐々にずれることで、骨の中を通っている脊髄が圧迫されることがあります。程度によっては脊椎(背骨)専門医による手術が必要になります。手足のしびれ、首や頭の痛みが続く場合は一度担当医に相談されることをお勧めします。

5.手術のご相談について
症状がひどくなりすぎてからの手術では、手術自体も難しくなりますし、手術後の回復が十分に得られないこともありますので、手術の時期を見極めることが大切です。また、手術に際しては、いろんな関節が同時に傷み、骨の質も弱くなるといった関節リウマチに特徴的な問題に配慮しないといけませんし、どんどん進歩しているリウマチ治療のクスリに関しても理解が必要です。したがって整形外科治療だけではなく、関節リウマチ治療にも専門性のある医療機関で手術のご相談をされることをお勧めします。
5 関節リウマチにおける日常生活
NTT西日本大阪病院 房間 美恵

関節リウマチは関節に腫れや痛みが続く慢性疾患です。ストレスや冷え、風邪などが原因で症状を悪化させる場合があり、日常生活にも注意を払う必要があります。ここでは、関節リウマチ患者さんの日常生活についての留意点について説明させていただきます。 

● 関節リウマチを理解する
関節リウマチについての知識を持ち、現在飲んでいる薬や病気の状態についての理解が大切です。リウマチ治療に使われる薬剤の中には、感染症を起こした場合、中止することもあり、また症状に変化があった場合も早めに受診していただく必要があります。

● 日常生活の注意点
(1)ストレスをためない
関節リウマチの患者さんたちが落語を聞いて大笑いしたら、痛みが和らいだという報告があり、笑いが見直されています。
(2)睡眠・水分を十分にとる うがい・手洗いも忘れないように
睡眠不足になると、疲労感が残り、風邪など引きやすくなります。良質の睡眠をとるために適度な運動が必要ですが、体調や痛みに応じた無理のない運動としてリウマチ体操があります。翌日に疲れや痛みが残らない程度の運動を行いましょう(パンフレット参照)
(3)体を冷やさない
全身または関節が冷えるようなことは避け、保温のために衣服を工夫します。冬だけでなく夏でも冷えに注意して下さい。また、湿度が高くならないような配慮も必要です。
(4)食事はバランスよく
関節リウマチに効く食べ物とか、関節リウマチだから食べてはいけない食べ物は基本的にはありません。関節リウマチ患者さんは骨粗鬆症を合併しやすいので、カルシウムを多く含んだ食品の摂取をお勧めします。塩分やリンの過剰摂取はカルシウムの吸収を阻害してしまいます。インスタント食品・加工食品・清涼飲料水は取りすぎないようにしましょう。肥満は関節の負担になるので、食べすぎには注意が必要です。
(5)関節に負担をかけないようにする
関節への負担を軽減して、関節リウマチによる痛みや関節破壊の予防対策になります。長時間同じ姿勢を続けない、物を持つときは、片手ではなく両手で、両手よりは全身を使って持ちあげます。足にあった靴を選び、自助具を使用しましょう。

● 福祉制度について
関節リウマチ患者さんにも福祉制度があります。個人により利用できる制度に違いがありますが、どのような制度がありどこに相談するか、ご確認下さい。(パンフレット参照)
● リウマチ友の会 http://www.nrat.or.jp
    リウマチ情報センター http://www.rheuma-net.or.jp