主な症状は、咳、痰、息切れなどです。
「いつまでも咳、痰が続く」 「かぜがなかなかすっきりしない」 「冷たい空気を吸うと喘鳴(ヒューヒュー、ゼイゼイなどの雑音)がする」 「息切れが強くなってきた」などの症状が特徴です。
一般に喫煙者に多い症状でもあり、息切れも年のせいだと思われがちですが、年をとっても肺や心臓に異常がなければ日常の生活に困るような息切れが出ることはありません。
駅の階段や坂道で同年齢の人たちに一人だけ遅れていくことはありませんか。
喫煙者で、咳ばらいをしながら吸っている人、咳き込んでいる人は要注意です。健康な人では咳や痰がまったく出ないものです。
原因
COPDは「タバコ病」とも呼ばれるように、20年間以上にわたる大量の喫煙がその最大の原因とされています。実際、COPDの患者さんの95%に喫煙歴があり、喫煙者の約15%がCOPDになるという調査結果があります。
しかも、高齢になるに従って病気になる割合が急上昇することも分かっています。実際、50歳代では5.8%ですが、70歳代では24.4%になるというデータがあります。
ニコチンやタールなどタバコに含まれる有害物質を吸い続けることで、気管支や肺胞に慢性の炎症が起こります。また、気管支粘膜の表面にある線毛の働きが悪くなり、有害物質を排出しにくくなります。その結果、肺胞の壁が壊れ、重症のCOPD患者では酸素不足により歩行も困難になります。
喫煙者の周りにいる人たちも副流煙を吸うことになりますが、副流煙には主流煙よりも多くの有害物質が含まれています。例えば、ニコチンは3倍、一酸化炭素は5倍、アンモニアは50倍、発ガン物質は3~20倍も多いことが分かっています。
母親が喫煙者の場合には、胎児が胎盤を介して母体の有害物資を取り込むことになりますし、さらに、乳幼児期は肺がまだ発育期にあるため、副流煙による障害が起こりやすいと言われています。
タバコによる障害は男性よりも女性の方がより重症になるというデータもありますので、妊娠の可能性が高い若い女性は特に注意が必要です。
大気汚染や喘息もCOPDを増悪させます。
大気汚染だけでCOPDが発症したというデータはありませんが、すでに発症している場合には悪化させることが分かっています。
また、喘息の既往歴のある人はCOPDを起こしやすいと言われています。
COPDの簡易診断は、肺の排出力を測定するスパイロメトリーと呼ばれる簡単な装置で行うことができます。大きく深呼吸してできるだけ吸い込んだ状態から一気に吐き出した時に、初めの1秒間に吐き出せすことができた空気の量(1秒量)が肺活量(肺が吸い込める最大の空気量)の70%以下であれば、「障害あり」と判定します。
「1秒量」は、25歳から30歳くらいで最大になり、年をとるにつれゆるやかに低下していくことが分かっています。80歳、90歳になれば30歳の頃に比べ大きく低下しているのですが、通常は普通の生活に支障はありません。
一方、COPDの患者さんでは「1秒量」は年を取るに従って急速に低下します。
禁煙しても必ずしも元の健康なレベルにまで回復することはなく、止めた後の低下がゆるやかになるだけです。しかし、禁煙を早くすればするほど増悪を抑制できることが分かっています。
2011/10/29 第4回市民公開講座(大阪府・堺市)
「COPD(シー・オー・ピー・ディー)~意外と知られていないタバコで起こる肺の病気~」
2010/07/17 第2回市民公開講座(愛知県・春日市)
メディッセでは、市町村主催の健康祭りなどに参加して、
簡易肺機能検査を体験してもらう活動を行っています。