代表挨拶

 私たちメディッセは2003年に大阪府および大阪NPOセンターのご指導ご支援を受けて設立しました。当初は大阪府下で活動を開始しました。その後、中部地区でも循環器疾患に関するNPO法人東海循環器病診連携フォーラムと呼吸器疾患に関するNPO法人Respiratory Disease Conferenceのグループの設立をお手伝いし、設立後は事務局活動を支援しました(終了)。さらにその後、腎臓病に関するNPO法人名古屋腎臓病克服総合フォーラムの設立をお手伝いし、事務局活動を支援してまいりました。

 これまで20年間にわたって活動を続けてこれましたのも一重にご強力いただきました製薬企業様、医師会様および地方自治体の関係機関の皆さまのご厚情の賜物と存じます。厚くお礼申し上げます。

 

現在、目覚ましいスピードで医療が変革し進歩しています。新しい治療薬の登場や治療法の変革はもちろん、さまざまなイノベーションが医療に応用されています。 

一方で、多くの未だ解決されない課題が存在しています。その一つが、“情報の壁”です。

今般のコロナ禍において医療DXの遅れが露呈しました。診療分野においては感染状況や医療逼迫の把握が思うように進まず、医療者間や国民との情報共有のあり方において大きな課題が浮き彫りになったと痛感しています。研究分野においても特に臨床の現場におけるビッグデータ(Real World Data; RWD)を用いた研究は世界のトップと比べて何周も遅れています。診療や臨床研究においてRWDを用いて我々が享受できることは多大であり、その構築と成果の発信は我々が達成しなければならない重要な課題です。

我々は、関節リウマチ(RA)の領域で、診療支援システムMiRAiOsaka Minami RA Information System)を独自に開発し、全国に導入施設が拡大しています。MiRAiは医師の診療を支援するだけでなくRAの診療のデータベースを蓄積し、継続してリウマチ医療の現状を“見える化”して皆さまにお伝えし、さらに診療における課題を検証することができます。

また、医療には様々な医療機器が用いられています。これらの研究開発は医療を支える基盤としてますます欠くことのできないものとなっています。技術革新に伴って実際に様々なイノベーションがこの分野に参入していますが、我々は医師と医療者(看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士、検査技師、臨床工学士など)の求めるニーズと、産業界の技術力が、幸福に出会えるように協力をしたいとも考えています。

さらに、がんや慢性疾患、難病など疾患領域を問わず、臨床専門医によるより適切な治療法を確立するための研究活動を支援すると共に、みなさまに病気の解説と、予防・治療法についての最新情報を提供し、さらには、高齢化社会を迎えてサルコペニア、フレイルの予防について啓蒙を行うお手伝いをさせていただきたいと思います。

このように疾患への正しい理解や最新医療の普及のために、それぞれの疾患の臨床専門医が果たさなければならない役割は極めて大きいと考えられます。しかし、日常の診療業務に忙しい専門医がこのような啓発活動に参加するためには支援する組織が必要です。そのために、メディッセは、倫理性、機密性および中立性を守って臨床専門医の活動を支援したいと考えています。

 また、海外で開発販売されている有効な新規医薬品の恩恵に浴すことができない国内の患者のために、我々はこのような活動を通じて社会的中立性を担保して製薬企業や創薬ベンチャー企業による開発を促進したいとも考えています。

 

引き続き当活動に対しまして皆さまのご理解、ご支援をいただければ幸いです。


メディッセ代表理事

大島 至郎